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凸版印刷とは?特徴や採用するメリット・デメリットを解説

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凸版印刷とは?

印刷方式にはさまざまな種類があり、それぞれ用途に適した方法が使われています。なかでも凸版印刷は長い歴史を持ち、シール印刷で使われることも多い方法です。この記事ではビジネス用途でシールを使う人に向けて、凸版印刷について詳しく解説します。どのようなシール印刷に向いているのかも含めて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

※記事内容は当工房の担当者が感じた主観的な意見です。他印刷会社とは意見に相違がある場合もあります。予めご承知ください。

2021年07月23日

そもそも印刷とは?

印刷とはインクを用いて文字や写真などを複製する技術のことです。印刷技術がなかった時代は、同じものを複製しようと思えば手書きするしかありませんでした。その後、印刷技術が大きく発展したのは15世紀中頃の中世ヨーロッパです。ドイツの技術者グーテンベルクによって活版印刷の方法が発明されたことで、書籍が複製できるようになりました。現代では紙だけにとどまらず、段ボールや布など、さまざまな素材に印刷できるようになっています。

 

凸版印刷とは

印刷方式は大きく4種類に分かれています。なかでも凸版印刷は最も古い歴史を持つ方法のひとつであり、15世紀にグーテンベルクが発明した活版印刷は凸版印刷に分類されます。日常生活でも頻繁に使用する印鑑や、学校の美術で作成する版画などと原理は同じです。

文字や図柄などの印刷したい部分が凸状になる版を作成してインクをつけ、紙に直接圧力をかけて転写する印刷方式です。もともと木版や亜鉛版などが使われていましたが、時代とともに凸版印刷の原理を活用した印刷技術は発展し、樹脂やゴムなどの版でも印刷できるフレキソ印刷が登場しています。

 

凸版印刷の主な用途

ほかにさまざまな印刷方式が登場したとはいえ、凸版印刷が使われなくなったわけではありません。輪郭が鮮明で安定した仕上がりが特徴の凸版印刷は、現代でも活用され続けています。特に文字中心の印刷物を印刷するのに向いている方式です。

例えば新聞や雑誌、書籍などのほか帳票などのビジネスフォームや名刺、シールなどのビジネス用途でも使われています。和紙などの素材では印圧によって味わい深い仕上がりになり、ギフトアイテムなどでも活用されています。

 

凸版印刷の2つの種類

同じ凸版印刷でも使用する機械によって「平圧式」と「輪転式」があります。それぞれの方式で特徴や向く印刷が異なるため、以下の段落で詳細を解説します。

■平圧式

平圧式はクッションとなる下部のプレスボードと上部の版の間に印刷する紙やシール素材などを平行に置き、上下圧で印刷する方式です。古くから行われている印刷の方法で、版は真鍮や銅がよく使用されています。版やインクの交換がしやすく、機械も省スペースです。

印圧を高くして鮮明な印刷ができるメリットがある一方、網点と呼ばれる細かい点が少なく、濃淡を表現するのには向いていません。そのため、平圧式は複雑な図柄などの印刷よりは、単色印刷を得意としています。また、後述する輪転式に比べて印刷速度が遅いため、大量印刷よりは中・小ロットの印刷向きです。

■輪転式

輪転式は回転する筒状の圧胴と版胴との間に、印刷する紙やシール素材などを通しながら印刷する方式です。サテライトタイプとスタックタイプなど、複数の機構があります。印刷の速度は平圧式に比べて早く、大量印刷に向いています。

また、4色以上の版ユニットが配置できるほか、表面をインクで覆いつくすベタ印刷にも適しています。その特性を生かした精度の高い印刷ができることもあり、輪転式ではフルカラーの図柄が入ったカラーラベル印刷などにも幅広く使用されています。

 

凸版印刷と他の印刷方式との違い

凸版印刷のほかにも、版の形状が異なるさまざまな印刷方式があります。この段落では参考として「凹版印刷」と「平板印刷」、「孔版印刷」の3つを挙げ、それぞれの特徴や使用されている印刷の分野などを解説します。

■凹版印刷

凹版印刷は凸版印刷とは逆に、凹凸のある版の凹状側にインクをつけて印刷する方法です。最初は版全体にインクをつけ、余分なインクを取り除いたうえで印刷します。凸版印刷のように網点の大きさや密度の違いで濃淡を出すのではなく、凹部分の溝の深さを変えることでインクの量を調節して細かい濃淡を表現することが特徴です。

グラビアなどの写真をきれいに印刷できるグラビア印刷方式も、凹版印刷の一種に分類されています。大量の印刷にも向いていることからタバコの箱の印刷に使われているほか、お札や切手、証券類の印刷方法としても有名です。

■平版印刷

平板印刷は凸版印刷や凹版印刷とは違い、版に凹凸をつけません。アロイス・ゼネフェルダーが発明した印刷方式で、水と油が反発し合う性質を利用することが大きな特徴です。平板印刷では印刷しない部分を親水性のある状態にしたうえで、印刷する部分は油性に保ちます。印刷する際に水を与えると油性の部分だけにインクが付着する仕組みで、オフセット印刷もその一種です。

オフセット印刷は紙などに直接インクをつけるわけではなく、一旦ブランケットと呼ばれるゴム製などの版胴に移し、あらためて紙に転写をする間接的な印刷方法です。現代では新聞やポスターなどの印刷物に多く使用されています。

■孔版印刷

孔版印刷は凸版印刷も含めた4種類のなかでは一番新しい印刷方法で、1856年にウィリアム・パーキンによって考案されました。孔版印刷では版に凹凸がついているのではなく、インクが浸透する仕組みになっています。印刷したい部分はインクが浸透する小さい穴が空けられ、印刷したくない部分は浸透させない状態です。浸透する部分の小さい穴からインクを版の下に押し出すことで印刷できます。

スクリーン印刷と呼ばれる方法が孔版印刷にあたります。孔版印刷で印刷した文字や図柄はインクの被膜が厚いことが特徴です。屋外などで使用するステッカーなどに使われているほか、布などへの印刷にも適しています。

 

凸版印刷のメリット

凸版印刷は版の凸部分にインクをつけ、圧力をかけて転写します。その際に押し出されたインクによって周囲に濃い部分が生じ、輪郭がはっきりした仕上がりが得られる印刷方法です。文字も鮮明に印刷できることから、先述したように文字中心の印刷に適しています。

 

凸版印刷のデメリット

網点が少ない凸版印刷は、細かいグラデーションで表現しなければならない絵柄や写真などの印刷には向いていません。ただし、データの内容にもよりますが、最新の機械ではグラデーションも出せるケースがあります。希望する場合は対応している業者に依頼するといいでしょう。

圧力をかけて印刷する凸版印刷では小さい文字が潰れてしまうことや、印刷する素材にシワがよったりへこんだりする場合もあります。また、刷り上がったあとでないと誤字脱字が見つけにくい点もデメリットのひとつです。



1台の機械で工程を通して作業できるため、ほかの印刷方式に比べてコストが安いところもメリットです。予算に余裕がないケースや費用を抑えたいケースでも採用しやすいでしょう。

 

凸版印刷はどんなシールの印刷に向いてるか

凸版印刷の特徴を活かせるのは、細かい模様があまりないデザインで単色から3色程度までのシール印刷です。特に比較的サイズが小さいシール印刷に向いており、化粧品や衣料品向けのシールラベルなどによく使用されています。

輪転式の場合は大量の印刷にもある程度対応できますが、どちらかといえば凸版印刷は小ロットから中ロットの数量のシール印刷向けです。単色のシール印刷ではリーズナブルな価格で済み、短い納期にも対応できます。

 

御見積のご依頼についてまとめ

凸版印刷は古くからある印刷方式ですが、新しい方式が出てきているにもかかわらず、現代でもさまざまな用途で使われています。特に鮮明な輪郭の文字を印刷するのに適しており、コスト面でもリーズナブルです。

2004年にオープンして以来、シール印刷の納品実績がすでに1万件を超える「繁盛シール工房」は、作りたいシールを完全オーダーメイドで作成しています。「ひとつ、ひとつ。シールづくりに、思いを込めて」をモットーとし、アフターフォローに至るまで一貫してアテンドと呼ばれる専任の担当者がサポートしています。シール製造歴30年以上のベテラン印刷工が長年の経験で培った知識と熟練の技でシール製作を担当しているところも、実績を上げている理由のひとつです。

シール印刷をご検討なら、まずは無料見積もりをお試しください。

この記事で解説したシールの用途・素材・加工方法

シール印刷方式:凸版印刷

シール印刷方式:凸版印刷

凸版にインキを付着させて、シール素材に直接印刷する方法です。ハンコに朱肉をつけてから押すようなイメージです。ロール状の原反(シール素材)を使い、1台の機械で「印刷→ラミ貼り→抜き加工→カス取り」までの作業をワンパスで行えます。

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