シール印刷ラボ

オンデマンド印刷で作るシールのメリット・デメリットを解説

オンデマンド印刷で作るシールのメリット・デメリットを解説
オンデマンド印刷シールのトラブルについて

最近オンデマンド印刷にまつわるご相談をいただくことが増えてきました。内容的には「失敗した」です。今回は市場に浸透してきたオンデマンド印刷について、そのメリット・デメリットや他印刷方法との違いなど、知っておくと得する情報をお届けします。当工房ではオンデマンド印刷でも製造対応しており、ご希望内容によってはご提案をさせていただく場合がございます。

※記事内容は当工房の担当者が感じた主観的な意見です。他印刷会社とは意見に相違がある場合もあります。予めご承知ください。

2023年06月26日

オンデマンド印刷とは?

そもそもオンデマンド印刷って何を意味するかというお話です。オンデマンド印刷はデータを印刷機に直接送信して印刷(プリント)する方式の総称だとお考えください。身近なところではご自身のパソコンからデータをプリンターに送信して印刷する流れです。実際のシール印刷現場では、個人向プリンターより大きな印刷機を使いますが、イメージは同じです。別名でデジタル印刷と呼ばれることもあります。

凸版印刷、オフセット印刷、シルク印刷などは版を使って印刷する有版印刷方式となります。これに対して、オンデマンド印刷は無版方式(版をつかわない)ということになります。

印刷方式としての大きな違いは、版を「使う(有版)」か「使わない(無版)」かです。

有版方式、無版方式にはそれぞれ特性があり、見方によってはメリット・デメリットがあるということになります。

 

オンデマンド印刷の特性

ここではオンデマンド印刷の特性と合わせてメリット・デメリットを解説します。

オンデマンド印刷では版を使わないので、版を作る工程(時間)とコストが不要になり、その分だけシール作成にかかるコスト・時間も少なくすることができます。
また有版方式であればデータの色数だけ版を用意する必要があり、必要な版数分だけコストや作業費が高くなりがちですが、無版方式のオンデマンド印刷では色数によって価格差が生じることが基本的にありません。ご家庭用プリンターのインクを見ていただくとわかるのですが、基本CMYKというインクカートリッジを使っていますよね。赤1色のデータであってもCMYKのインクを使って印刷されるので、1色でもカラーでも同じということになります。CMYKのインクを使って再現できる色調であれば色数問わずです。

逆に金・銀・蛍光色などはCMYKインクで再現できない代表的なカラーなので、オンデマンド印刷で対応できないこともあります。ここで「対応できないこともあります」と言うからには例外もあるということです。後ほど解説します。当工房ではカラー4色(CMYK)に加え白インクを使用した印刷機を使用しております。


またオンデマンド印刷はバリアブル(可変情報)印刷に対応している機種が多く、それらを使えば、多品種のJANコードシールやランダム英数字が混在したシリアルシール、ナンバリングシールなどに対応することができます。有版印刷では無理なので、これはオンデマンド印刷ならではのメリットと言えるでしょう。

 

オンデマンド印刷のメリットとデメリット

【メリット】
・少ロット、多品種を低コスト、短納期で作れる
・可変情報(バリアブル)印刷に対応(※1点ごとに異なるJANコードやシリアル、ナンバリング番号)

【デメリット】
・特定カラーの印刷が難しい場合がある
・想定していたカラーで印刷されないことがある

 

オンデマンド印刷の種類

繰り返しになりますが、オンデマンド印刷はデータを印刷機に送信してプリントアウト(印刷)する方式の総称とお考えください。但し、プリントアウト(印刷)する方式にはいくつのも種類があります。ここではシール印刷業界で使われる代表的な出力形式をご紹介します。

■インクジェット方式

インクジェットカートリッジを使った方式。ご家庭用のプリンターの多くがこの方式ではないでしょうか。後で説明する大判出力方式の多くはインクジェット方式とセットになることが多いです。印刷自体は荒くなることがあり、小さなサイズのラベルシールよりも大きなサイズのステッカーに向いています。

■リボン転写方式(サーマルプリント方式)

熱転写用リボンを使用した印刷方式です。インクジェットカートリッジを使った方式よりも数量が多い場合にメリットを発揮します。   デメリットとしてはインクリボンによる転写印刷の為、黒を基本とした標準的な色しか対応できないことです。またインクジェット方式と違い利用できる書体にも制限がかかります。カラー印刷部分は凸版印刷を使用し、可変情報となる数字などの部分のみリボン転写方式を利用するなどの組み合わせで用いることが多くあります。

■トナー方式

レーザープリンターや複合機などで利用されているトナーを使った印刷方式。
多くの企業ではこの方式のプリンターが使われています。後で説明するロールtoロール方式の多くはトナー方式とセットになることが多いです。シール印刷の現場でもトナー形式のオンデマンド印刷機があります。繊細なデザインのラベルシールに向いています。

■大判出力方式

A4やB5などの大きなシート(大判)に印刷する方式です。
業務用の大判印刷機の場合であればポスターサイズ以上でも印刷できます。
看板屋さんなどは、この大判出力タイプのオンデマンド印刷機を使っていることが多いです。
大きなサイズの屋外用ステッカー、1枚~10枚だけといった場合に向いています。

 

ここで注意すべきことは、それぞれに得意・不得意(できること・できないこと)があるということです。
これらを理解しておかないと、ご希望から離れたシールに仕上がることがあります。

印刷機の性能によって異なりますが、大判出力形式のオンデマンド印刷機で繊細な絵柄のデザインラベルを印刷すると、荒く再現される場合があります。上記でご紹介した印刷方式以外にも様々な種類のオンデマンド印刷機が市場に流通しており、機械によって仕上方法が限定される場合もあります。

お作りになりたいシールに細かな指定やご希望がある場合は、印刷会社の担当者にデータを事前に確認してもらった方が安全です。

 

オンデマンド印刷にまつわるトラブルについて

最後にオンデマンド印刷にまつわる、よくあるトラブル事例についてお知らせしておきます。オンデマンド印刷は少ロット、多品種、低コスト、短納期などのメリットが先行して目につきますが、デザインやシールの用途に合ったオンデマンド印刷機で対応しなかった場合にはトラブルになることがあります。

■データと色調が大きく異なって納品されてきた

オンデマンド印刷では基本的にデータをそのまま印刷するだけなので、シール印刷会社側で色合せという概念自体がない場合があります。有版印刷では印刷オペレーターがデータに合わせてインクや印刷機を調整しながら作業をしますが、オンデマンド印刷の場合はデータを修正する方法しかないので、色合わせは難しいと考えた方が良いかもしれません。
高機能なオンデマンド印刷機では色調をデータに合わせるような機能もありますが、まだまだ一般的と呼べるほどのレベルではありません。

■シールのカット位置(裁断部分)が白くなっている

シールをお好みの形状にカットする方法として一般的な方法は抜型(刃型)と呼ばれるものを使ってカットすることが多いのですが、他にも方法があり、レーザーでカットする方法で対応するとシールの縁が白く焼かれてしまうことがあります。背景を黒い全ベタにしたシールを注文したつもありが、納品されたシールは白縁がついていた。このようなトラブルに関する問合せもよくいただきます。ほとんどの場合、事前の注意事項としてWEBサイトに記載されているのですが、意味が分からないのでスルーされているお客様も多いようです。レーザーカットは抜型を使わないのでコストが安くなることもありますが、データによっては不向きな場合もありますので注意が必要です。

 

御見積のご依頼についてまとめ

オンデマンド印刷は、小ロット・多品種・短納期・低コストに繋がるので、条件が合えばオススメの印刷方法です。
しかし使用するオンデマンド印刷機の性能によっては、ご希望に合わない仕上がりになる場合があります。
オンデマンド印刷でシールを作る場合は、ある程度の許容値を設けた方が良いと言えるでしょう。


最新のオンデマンド印刷機は金・銀・白などのスポットカラーや指定色合わせの機能がデフォルトで設定されてるタイプがあります。
オンデマンド印刷の業者選定の目安として、最新の印刷機を導入しているかを確認しておくのも大事です。


オンデマンド印刷の他にもシール印刷のトラブルやご相談がございましたらお気軽にお問い合わせください。
専用フォームはこちら

この記事で解説したシールの用途・素材・加工方法

まずは今すぐ!お気軽にご相談 無料お見積