シール印刷ラボ

再剥離シールとは?シールを綺麗に剥がせる粘着剤の種類と特性を解説

再剥離シールとは
再剥離シールとは?

再剥離シールをご存知でしょうか。対象に貼り付けたシールやステッカーを綺麗に剥がしたい場合に使用する再剥離糊をつかったシール、ステッカーの総称です。しかしシールの貼り付け対象はお客様によって異なり、一概に再剥離シールを作りたい場合でも、対象物の状態や貼り付け後の環境などによって使用する再剥離糊も変わってきます。そうです。再剥離糊にも種類があるのです。今回は再剥離性の機能を持ち合わせた粘着剤の種類や特性を解説します。

※記事内容は当工房の担当者が感じた主観的な意見です。他印刷会社とは意見に相違がある場合もあります。予めご承知ください。

2023年07月21日

再剥離シールとは?

シールは大きく分けて2つのタイプに区分されます。一つ目は永久接着タイプ、2つ目が再剥離タイプです。簡単には一度貼ったら剥がす必要のないシールが永久接着、一定期間後に剥がすシールが再剥離タイプとなります。今回は再剥離タイプにフォーカスして話しを進めるのですが、粘着剤を選定する場合に必要な考え方ですので覚えていて損はないです。再剥離タイプは一定期間後に剥がすので、対象に糊残りがなく、綺麗に剥がしたいですよね。このような要望を叶える粘着剤が再剥離糊です。貼ったシールを再び剥離させるという意味です。

再剥離糊の特性
綺麗に剥がせる、対象に糊残りが無い、対象を傷めない

よく何度も繰り返し貼れるシールのことを聞かれることがあるのですが、これは再剥離再貼付タイプになります。当工房では再貼付まで対応した粘着剤の取り扱いがなく、今回の記事からは解説を省いています。

 

再剥離糊の種類と特性

再剥離糊にも種類があります。用途や貼り付け対象、貼り付け後の環境、貼り付け期間などを考慮して使い分けます。再剥離シールで身近なものといえば、3M社のポスト・イットをはじめとした付箋紙が有名です。付箋紙はコメント残しや簡易的な目印として使用することが目的なので弱粘着性の再剥離糊が使われています。違う用途では電車やバスの交通広告ステッカーなどもあります。この場合は半年から1年くらいを目処に貼り替えることが想定されるので屋外でもしっかり貼り付き、且つ、綺麗に剥がせることができる強粘着性の再剥離糊が使われていることが多いです。他にも多様な種類がありますので代表的なものを紹介します。

■弱粘着性再剥離(弱粘再剥離)

一般的な再剥離糊です。冒頭紹介しました付箋紙などに利用されています。貼り付け対象が平面、平滑面の状態で、屋内利用であることが利用前提となります。短期間で剥がすシールにオススメです。作りて側の意見としてラミネートを貼ると平面貼り付けでも自然にシールが浮く(反り返り)が起こる場合が見られますので、ラミネートは貼らない方が安全かと思われます。

■強粘着性再剥離(強粘再剥離)

交通広告ステッカーをはじめとした中長期間貼付け後に剥がす必要のあるステッカーに利用される粘着剤です。会員証ステッカ-やノベルティステッカーにも使われています。再剥離といえども強粘着性です。長期貼付け後に剥がす際には力が必要です。基本的に屋外利用の為、ラミネートを貼ることが多いです。

■弱粘着

弱粘性再剥離と普通粘着との中間強度の粘着剤です。屋内でもちょっとした曲面に貼るシールではこの粘着剤を使います。

■微粘着性再剥離(微粘着)

その名の通り微々たる粘着強度です。弱粘再剥離よりも弱い粘着剤です。販売用のメガネレンズに貼るプライスシールや店頭陳列されている家電製品の販促シールとして使われています。家電量販店に足を運んでいただくとご覧いただけるかと思います。

■隠蔽性再剥離

隠蔽性と再剥離性を兼ね揃えた粘着剤です。個人情報保護ラベルなど、一時的に隠したい印刷物の目隠し用途に使われています。

 

再剥離糊を使用する際の注意点

再剥離タイプの粘着剤は永久接着タイプの粘着剤(普通粘着や強粘着)と比べて粘着強度が落ちるケースが一般的です。お作りになりたいシールやステッカーが本当に再剥離性を必要とするものなのか、また貼り付け場所の状態や環境、貼り付け期間を把握しておく必要があります。よく考えると再剥離性が不要なシールを無理に再剥離糊で作ってしまうとシールが簡単に剥がれてしまったり、定着しない恐れがあります。不安な場合は、事前に印刷会社の担当者へご相談ください。

 

再剥離糊に対応したシール素材

全てのシール素材が再剥離糊に対応しているわけではありません。シール素材メーカーでも利用頻度の高い素材に絞って品揃えされています。ここでは当工房で再剥離糊に対応しているシール素材をご紹介します。

■弱粘着性再剥離(弱粘再剥離)

●紙素材・・・上質紙、色上質紙(7色)、アート紙、ミラーコート紙、未晒クラフト紙、マットコート紙
●フィルム素材・・・無し

■強粘着性再剥離(強粘再剥離)

●紙素材・・・無し
●フィルム素材・・・ユポ、透明フィルム、銀フィルム(艶有り・艶無し)、金フィルム(艶有り・艶無し)、白塩ビ

■弱粘着

●紙素材・・・上質紙、アート紙、ミラーコート紙、ホイル紙(金・銀)、和紙(一部)、トレーシング
●フィルム素材・・・ユポ

■微粘着性再剥離(微粘着)

●紙素材・・・無し
●フィルム素材・・・ユポ、透明フィルム、銀フィルム(艶有り・艶無し)、白塩ビ

■隠蔽性再剥離

●紙素材・・・アート紙、ミラーコート紙、マットコート紙
●フィルム素材・・・ユポ

 

こんな時はどうする?再剥離シールにしますか?

当工房では実際に再剥離糊を使ったシールやステッカーの実例を掲載していますが、再剥離糊を使うか悩むこともあります。ここではQ&A形式で回答してみます。当工房の回答ですので他シール印刷会社では異なる回答になる場合もあります。ご了承ください。

Q:子ども達に配るノベルティシールは再剥離にした方がいいですか?

A:子どもはどこにでもシールを貼ってしまいがちです。貼るのはいいけど剥がす時に大変。。。再剥離糊を使った方がお母さんには喜んでいただけるかもしれません。

Q:集合住宅(マンション)の空き部屋ポストに投函禁止シールを貼りたいけど、どのタイプの再剥離を使えばいいか教えてください。

A:屋外ではあるけれど雨ざらしにはならない環境ですね。貼り付け期間も1ヶ月から3ヶ月程度が想定されます。紙素材の再剥離では湿気に弱いので、フィルム系の再剥離を使いましょう。タイプは弱粘着で十分かと思いますが、種類がユポしかご用意がありません。透明ベースや銀ベースをご希望の場合は強粘着性再剥離でも大丈夫です。

Q:飲料ラベルの作成を検討しています。ゴミ分別できるように再剥離性にしたいのですが、どのタイプがいいですか?

A:フィルム素材の強粘着性再剥離がオススです。但し塩ビはリサイクル素材ではないのでユポや透明フィルム(PET)を使いましょう。紙素材をお使いになりたい場合は弱粘着タイプとなりますが、円柱の曲面に貼るとシールが浮いてくる可能性があります。事前検証が必要です。

 

御見積のご依頼について御見積のご依頼について

再剥離シールに関してはシールの用途、貼り付け対象の状態、貼り付け期間などの情報を考慮した上で再剥離タイプを決める必要があります。単純に再剥離シール希望とだけお伝えいただくだけですと、納品後にシールが機能しないこともありますので注意が必要です。

再剥離シールについて不安のある方は御見積をお申し込みされる際に下記の情報をいただけると、最適な仕様をご提案することができます。


・シールの用途・・・何に使うシールか
・貼り付け対象・・・どのような形状の対象か、また平面平滑面であるか。
・貼り付け後の環境・・・どんな場所で使うか。屋外、屋内など。
・貼り付け期間・・・どの程度で再剥離(剥がす)されるか。数日?数ヶ月?1年など。
・ご希望の素材の特徴・・・白ベース、透明ベース、銀ベースなど、素材の特徴だけでも。


以上のような情報をいただけると助かります。

もちろん、素材や粘着剤のことをよく理解されているお客様は仕様指定いただいても問題ございません。

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この記事で解説したシールの用途・素材・加工方法

再剥離粘着

再剥離粘着

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