シール印刷ラボ

ステッカー構造と素材|素材の種類や特徴・選び方を徹底解説

作成者: 繁盛シール工房|2021年07月29日

ステッカーを構成する素材

ステッカーは4つの層から構成され、表面から順に表面加工層・ステッカー素材・粘着剤・台紙という順番で積層しています。「表面加工層」は、ステッカーを保護する役割を果たしています。また「ステッカー素材」と「台紙」は、「粘着剤」の粘着力により簡易的に接着されています。

「ステッカー素材」は、ステッカーのデザインや機能性にかかわるため、ビジネス用途のステッカーを作る際は、どのような素材を選ぶかが非常に重要です。以下では、ステッカーの大部分を占めるステッカー素材について、詳しく解説していきます。

 

ステッカー素材の種類【紙】

ステッカー素材の多くは「紙」または「フィルム」です。まず紙のステッカー素材について、素材の特徴や、ビジネス用途を紹介します。

■上質紙

上質紙は安価で使える素材であり、表面がザラザラしています。筆記性にすぐれ、鉛筆、ボールペン、油性ペンなどあらゆる筆記具を使えます。上質紙は身の回りでよく利用されており、たとえば一般的にオフィスで用いられるコピー紙、メモ紙などが上質紙です。ほかにも値札や荷札など、単色の印刷物によく用いられます。

■アート紙

目止め処理が施されたアート紙は、上質紙と比べると表面にツヤがあります。また単色印刷はもちろん、カラー印刷や写真印刷も可能です。表面加工されたアート紙は、緻密な印刷表現が期待される印刷物によく用いられます。たとえば雑誌やポスター、カレンダー、書籍、パンフレット、写真集などによく用いられます。

■ミラーコート紙

アート紙に鏡面加工が施されたものを、ミラーコート紙、またはキャストコート紙と呼びます。ミラーコート紙は周囲のものが映り込むほど表面が滑らかで、印刷の仕上がりの割には安価で使用できると好評です。なおミラーコート紙の用途には、商品ラベルやバーコード、POP、はがきのダイレクトメール、雑誌の表紙などが挙げられます。

■和紙

和紙は、紙の風合いを感じられる素材です。上質さやナチュラルさを演出したい商品に向いており、和紙のステッカーを貼ることで、競合商品との差別化も可能です。バリエーションの豊富さも和紙の特徴で、繊維の凹凸が楽しめるもの、シワが特徴的なクレープ素材が使われたものなどがあります。なお用途としては、贈答品や高級品、和風小物などが挙げられます。

■ホイル紙

ホイル紙は、表面のアルミ加工により金属光沢を放ちます。価格別にグレードがあり、高価なものほど金属光沢が素晴らしく、見る人に洗練された印象を与えます。

ホイル紙はアルミホイルのようにも見えますが、ベースが紙であるため耐水性はありません。取り扱いには注意しましょう。またホイル紙は、遮光用途や検知用途などに使われます。

■マットコート紙(マット紙)

マット紙にはツヤ消し加工が施されており、上質紙よりもやや割高です。ツヤがないため、反射光で目が痛くなることがありません。また落ち着きや高級感、味がある表現などを得意とします。たとえばショップカードやパンフレット、カタログ、名刺、卓上カレンダー、高級ブランドのカタログなどにマット紙は使われます。

※マットコート紙は印刷する前はマット調ですが、印刷してしまうとインクが付着している部分はマット感が消えてしまいます。ステッカー背景全体に印刷する場合、アート紙やミラーコート紙と区別できない程度の仕上がりなります。マットコート紙を利用される場合は、この特徴をよく理解しておく必要があります。

 

ステッカー素材の種類【フィルム】

フィルムを使用したステッカー素材について、素材の特徴やビジネス用途を紹介します。

■ユポ

ユポは、プラスチックの一種であるポリプロピレン由来のフィルムです。プラスチックの割合が多いため耐水性にすぐれ、しかもフィルム系の素材のなかでは比較的安価で使えます。よく見られる利用場所は、屋内の水周りです。フィルム系なので耐熱性もあるかと思われがちですが、耐熱性は弱いです。熱を発するカラー出力機に通すと軽く変形します。ただし耐熱性が弱いといっても極端な温度変化がなければ屋外でもご利用いただけます。

■塩ビ(PVC)

塩ビ素材には、白いベースの「白塩ビ」、透明ベースの「透明塩ビ」の2種類があります。塩ビは耐水性、耐候性ともに良好です。そのためビニールハウスの素材のような屋外用途によく用いられます。さらに濃い仕上がりが特徴のシルク印刷との相性がよいため、車用のステッカーにも利用されます。

■PET

PETはポリエステルをもとに合成されたフィルムです。外観から塩ビと間違われることもありますが、リサイクルの可否や機能性が異なります。PETは塩ビ同様、耐候性と耐水性は良好です。なおPETは日常生活でよく見られ、商品の包装材や、工業用途まで幅広く活躍します。PETは透明ベースの透明PETが一般的ですが、他にも白いベースの白PET、PET素材に金や銀のコーティングがなされた銀フィルム(銀ネーマ)、金フィルム(金ネーマ)などがあります。

 

ステッカー素材の種類【その他】

他にもステッカーに使われる素材があります。サテンとホログラムに関し、素材の特徴やビジネス用途を紹介します。

■サテン

サテンとは、アセテートからなる素材です。サテンにはペンで書きこみ可能なため、入館証やイベントパスシールなどに用いられます。サテンは再剥離糊に対応していると思われがちですが、繁盛シール工房のサテン素材は繊維用糊のみに対応しており、再剥離性はありません。Tシャツなど繊維質な衣類に貼るには問題ないですが、革製品(レザー)に貼ってしまうと、シールを剥がす際に対象が破損します。ご利用前に確認が必要です。

■ホログラム

ホログラム素材は、表面に微細な凹凸がある素材で、反射光が干渉しあい虹色に輝きます。ホログラムにはさまざまなパターンがあり、自分でデザインを作ることも可能です。なおほかの素材と比べると、ホログラムの価格が割高です。ホログラムは、偽装やコピーの防止、意匠性の付与などで使われます。

 

【ステッカー素材別】メリット・デメリット

多くのステッカーに使用される紙とフィルム素材について、メリット・デメリットを紹介します。

■紙

紙素材には多くの種類があり、用途に応じデザイン性・機能性などの選択肢が方法です。また、組み合わせ可能なのりの種類は多く、再剥離・微粘着・強粘着などのレベルを容易に調整できます。しかも、紙素材は価格が割安です。このようにメリットが多い紙素材ですが、フィルムと比べると耐久性は劣ります。

■フィルム

フィルム素材のメリットは、耐久性の強さです。強度や耐候性、耐水性、耐熱性などにすぐれているためあらゆる用途に活用できます。一方フィルムは、紙素材と比較しコストがかさみがちです。用途しだいですがユポのような割安なものを用いるか、紙素材も検討しましょう。

 

ステッカー素材の選び方

紙素材とフィルム素材のメリットとデメリットから考えると、屋内用途のステッカーであれば種類豊富で割安な紙素材が、屋外用途のステッカーであれば耐久性に優れるフィルム素材が適しています。

 

【ステッカー素材別】印刷方法

素材が異なると、適した印刷方法も変わります。紙とフィルム別に、ステッカー素材への印刷方法を解説します。

■紙

紙素材の加工には、おもにオフセット印刷と凸版印刷で対応することが多いです。大量印刷の場合や大きなサイズの紙ステッカーではオフセット印刷が適しています。オフセット印刷は、インクを版につけ、版からローラーにインクを転写し、最後に紙素材に印刷する仕組みです。

■フィルム

フィルム素材に印刷する場合、凸版印刷、オフセット印刷、シルク印刷を用途やデザインによって使い分けています。屋内で使用するステッカーであっても透明ベースのPETを使う場合は凸版印刷で対応します。また同じPETを使う場合でも屋外利用(車やバイク)のステッカーではシルク印刷で対応することが多いです。印刷方法によってもコストが異なりますので、最終的にはステッカーの用途、印刷数量、サイズ、デザインなどの総合的な情報からベストな方法を選択する必要があります。

 

まとめ

ステッカーは、表面加工層・ステッカー素材・粘着剤・台紙で構成されます。ステッカーのデザインや機能を決めるステッカー素材は、ほとんどの場合、紙またはフィルムでできています。屋内用途の場合は種類豊富な紙素材を、屋外用途の場合は耐久性にすぐれたフィルム素材を選びステッカーを作成しましょう。

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